About Football (アメリカンフットボールについて) > 試合観戦の基礎知識

アメリカンフットボールというスポーツも、ようやくメジャーになってきました。これは、「アイシールド21」というアニメーションの影響も大きいでしょう。でも、「ルールが難しくてよくわからない」という声もききます。
確かに「投げる・打つ・走る」「ボール4つで1ベース」「ストライク3つでアウト」「アウト3つでチェンジ」というような野球と比べると複雑なルールがあり、また細かいルールは知らなくても「手で触ってはだめ」「相手に暴力的なことをしてはだめ」ということだけでも知っていればある程度楽しめるサッカーと比べるとちょっと動くたびにプレーがストップするアメフトはよくわからない、というのも納得できます。
でも、実はアメリカンフットボールを楽しむだけなら、それほど複雑なルールを知らなくても十分にエキサイティングできます。
 
フットボール・フィールド
上の図がアメフトのフィールドです。アメフトは100ヤード(約91メートル)の両外に10ヤードのエンドゾーンが足された120ヤードのフィールドで行われます。
アメフトはその名の通りアメリカ生まれのスポーツですから、メートル法ではなくヤード・インチで計測されます。このフィールドには地点がわかりやすいように、5ヤードおきにラインが引かれています。
また、サイドラインと平行に二本の「インバウンズライン」という線が引かれています。これは点線で描かれているので「ハッシュ」ともいいますが、すべてのプレーはこの二本のラインの間から開始されます。このラインより外でボールが止まった場合も、このライン上まで移動して次のプレーをします。
 
ゲームの時間
アメフトは、1試合を4つの節に分けて行います。この節を「クォーター」といいます。ゲームの前半が第1クォーターと第2クォーター、後半が第3クォーターと第4クォーターです。
各クォーターは時間制です。この時間は試合によって異なりますが、高校京都府大会の場合は1クォーター10分、中学大会の場合は1クォーター8分で行います。
こういうと、高校でも40分で試合が終わってしまうように思うかもしれません。しかし、実際には2時間ぐらいの試合時間が必要になります。
サッカーやラグビーは、一旦ゲームが始まると基本的にはゲームクロックは動き続けます。けが人やその他の理由で時間がかかった場合も、時計を止めるのではなく「ロスタイム」や「インジュリータイム」という形で、本来の時間にその分をプラスして試合を行います。
ところがアメフトは、一回のゲームの中で何十回となくゲームクロックがストップします。攻撃権が変わった時やボールがサイドラインをでた時、反則が発生した時やパスを失敗した時、けが人が出た時など、いろいろな場面で時計が止まります。ですから、アメフトではゲーム時間は1クォーター10分でもトータルで2時間という時間がかかります。
 
プレーヤーの人数
アメフトはフィールド上にいる、各チーム11名のプレーヤーで戦います。その他の控え選手はサイドライン側に設けられた各のチームエリアにいるのですが、プレーヤーは1~99の背番号をつけています。アメフトはプレーとプレーの間なら交代が自由なので、アメリカのプロチームなどはオフェンス専門・ディフェンス専門・キック専門と総入れ替えをするのが普通です。
 
ユニフォーム
アメフトでは、各チームとも2種類のユニフォームをそろえることになっています。一つは白いユニフォームで、これはビジター用のユニフォームです。もう一つはカラーユニフォームで、これはホーム用のユニフォームです。
胸と背中には大きく数字が書かれています。番号は1~99の番号なら何をつけてもかまいませんが、試合に同じ番号のプレーヤーが出場することはできません。
また、オフェンスチームは番号の付け方に約束があります。インテリアラインマンの5人のプレーヤーについては50~79番の番号をつけなければならないことになっています。それ以外の番号をつけると反則になります。
 
コイントス
試合開始に先立って、コイントスが行われます。
50ヤードを挟んで両チームのキャプテンが向かい合って立ち、レフリーは50ヤードをまたぐようにしてキャプテンの間に立ちます。
レフリーがコインを空中に投げあげている間に、ビジターチームのキャプテンが、「表」か「裏」をコールします。
コイントスの結果を受けて、次のような選択をしていきます。
(1)選択権の選択

コイントスで権利を得たチームは、選択権を前半に行使するか、後半に行使するかを選択します。

(2)攻守の選択

前半に選択権を得たチームは、ファーストプレーをキックチームとしてはじめるか、リターンチームとしてはじめるかを選択します。

(3)陣地の選択

攻守の選択をしなかったチームは、前半の第1クォータの陣地としてどちらを選択するかを決めます。陣地はクォータごとに変わります。

後半は、後半の選択権を得たチームが(2)を、相手チームが(3)を選択します。
 
ゲームの開始と展開
ゲームは自分のゴール側の35ヤードの地点から蹴られる「キックオフ」からスタートします。
そのボールを確保したチームに初めに4回の攻撃権が与えられます。この各回の攻撃を「ダウン」といい、1回目が「ファーストダウン」、2回目が「セカンドダウン」、3回目が「サードダウン」、4回目が「フォースダウン」です。
アメフトでは、この4回以内で10ヤード以上前進しなければなりません。10ヤード前進できなかった場合は、攻撃権は相手に移動します。4回以内の攻撃の間に10ヤード以上前進できたら、その前進地点から新たに4回の攻撃権が与えられます。これを「ファーストダウンを獲得する」とか「シリーズを更新する」とかいいます。
こうしてファーストダウンを積み重ねていき、最終的に相手のエンドゾーンにボールを持ち込めば得点となります。
得点が入ると、得点したチームのキックオフで試合を再開します。
上の図のように、10ヤードはボールの先端からの距離です。サイドライン上には、ファーストダウンを更新する地点がわかりやすいように、マークがされます。このマークのことを「チェーン」といいます。観客はこのマークを目印にしてあとどれくらいでファーストダウンが更新できるかわかります。
 
ゲームの得点
アメフトのゲームでは、次のように得点を数えます。
まず、相手のエンドゾーンにボールを持ち込むことを「タッチダウン」といいます。タッチダウンを獲得すると、6点入ります。またタッチダウンの後には追加点のチャンスが与えられます。このチャンスのことを「ポイント・アフター・タッチダウン(PAT)」と言ったり、「トライ・フォー・ポイント」と言ったりします。この追加点をあげる方法は二つ用意されています。一つはキックによる方法で、ゴールラインの3ヤード手前からキックをしてゴールポストを越えればトライ成功で、1点追加されます。もう一つは普通のゲームと同じようにゴール前3ヤードからプレーをして、もう一度エンドゾーンにボールを持ち込むことができればトライ成功で、2点が追加されます。
また、ゴールが近づいた時など、プレーをする代わりに、キックでゴールポストをねらうこともできます。このキックを「フィールドゴール」といい、成功すれば3点が入ります。
さらに、サッカーでいう「オウンゴール」にあたる自殺点を「セフティ」といい、これは相手チームに2点が入ります。
この1試合の合計点で勝敗を決します。
 
緻密な作戦
プレーが開始されると、各プレーごとにオフェンスチームとディフェンスチームは、ボールを挟んでそれぞれ円陣を組むようにして何かを話しています。これを「ハドル」といいます。ハドルとは作戦会議で、このハドルの中で次のプレーを決定し、プレーヤーに伝えます。
オフェンスチームもディフェンスチームも、時には100近いプレーを持っています。この中のどのプレーを選択するか、そしてどんなタイミングでプレーを開始するかということをこのハドルの中で話し合います。
このハドルは好きなだけできるわけではなく、プレー開始の合図があってから25秒間と決まっています。25秒間の間に次のプレーを開始しないと反則になります。
 
目に見えない境界線
オフェンスチームとディフェンスチームは、ゲームを始めるときにボールを挟んで向かい合ってセットします。下の図では青がオフェンスチーム、赤がディフェンスチームです。
このとき、間にあるボールの長い方の両先端をサイドラインまで、ゴールラインと平行にのばしたエリア(図の斜線の部分)を「ニュートラルゾーン」といいます。このニュートラルゾーンは両チームの境界線であり、どちらのチームにも属さないエリアです。プレーが開始するまで、オフェンスチームはこのエリアに入ることはできません。
またこのボールの長い方の両先端をサイドラインまで、ゴールラインと平行にのばした線を「スクリメージライン」といいます。
 
プレーの開始
オフェンスチームがプレーを開始するときには、いくつかの条件があります。この条件が満たされないと反則となってしまいます。
  • オフェンスチームは、最前列に7名以上のプレーヤーがいなければならない。
  • プレーを開始する前に、1秒以上オフェンスの全プレーヤーが静止しなければならない。
  • オフェンスのプレーヤーは、ボールがスナップ(最前列の一人のプレーヤーから後ろにいるプレーヤーにボールが渡されること)される前に動いてはいけない。(ただし「モーション」と呼ばれる動きをしている1名のプレーヤーは動くことができます)
ゲインGain と ロスLoss
オフェンスチームから見てボールの前方、つまり相手陣の側を「ダウンフィールド」、ボールの後方、つまり自陣の側を「バックフィールド」といいます。1回の攻撃が終わるとホイッスルが吹かれ、次の攻撃の開始地点にボールが置かれます。このボールが前の攻撃時のダウンフィールドにあれば「ゲイン」、バックフィールドにあれば「ロス」といいます。
ボールがどれだけ進んだかは、サイドラインの数字のかかれたマークの位置でわかります。これは「ダウンマーカー」と呼ばれます。上の図では、「次の攻撃がセカンドダウンの攻撃で、このマークの位置から攻撃が開始される」ということを表しています。
 
ラン・プレーとパス・プレー
オフェンスチームの攻撃は、大きく分けると「ラン・プレー」と「パス・プレー」に分けることができます。
「ラン・プレー」とは、バックフィールドのプレーヤーがボールを受け取って、走ってダウンフィールドに前進していくプレーです。
「パス・プレー」とはバックフィールドのいるプレーヤーがダウンフィールドに走り込んで、味方からのパスを受けるプレーです。
ラン・プレーとパス・プレーを比較すると、たいていパス・プレーの方が長い距離を前進できます。しかし、パス・プレーは失敗(ボールをキャッチできなかったり)すると、前回と同じ場所から次の攻撃をしなければなりません。また、デフェンスチームにキャッチされると、その瞬間に攻守が入れ替わってしまいます。パス・プレーは距離は稼げますが、このようなリスクが一方であります。
 
オフェンスチームのポジション
オフェンスチームのポジションは、下図のように呼ばれています。これは「プロI」と呼ばれる体型の場合です。
C センター 通常ボールをスナップする人。
G ガード センターの隣に位置する人。
T タックル ガードの隣に位置する人。
TE タイトエンド ガードの外に位置する人を「エンド」という。「エンド」がガードのすぐ隣にいる場合は特に「タイトエンド」という。
SE スプリットエンド ガードの外にいて、タックルと離れてセットしている場合は特に「スプリットエンド」というが、一般的にはWRと大差なく、「レシーバー」と呼ばれることが多い。
WR ワイドレシーバー ラインよりも後方にいて、パスキャッチを行うプレーヤー。
QB クォーターバック スナップされたボールを通常一番はじめ受け取ってプレーにうつす人。プレーの司令塔。「キュービー」と称されることもある。
FB フルバック QBの後ろにいるプレーヤー。
TB テールバック FBの後ろにいるプレーヤー。

FBとTBを合わせてRB(ランニングバック)といいます。一般的なラン・プレーはこのRBかQBがボールを持って走ります。
CとGとTとTEとSEの7人を「ラインマン」といいます。スクリメージライン上にいるプレーヤーという意味です。そのうちCとGとTの5人を特に「インテリアラインマン」といいます。この5人はパス・プレーの時、パスキャッチをする資格がなく、パスが投げられるまでダウンフィールドに出ることができません。
WRとFBとTBを「バックス」といいます。
 
ディフェンスのポジション
デフェンスのポジションは、下図のようになっています。これは、「4-3」という体型の場合です。
DT ディフェンスタックル オフェンスのインテリアラインマンに向き合う形でついているプレーヤーを「ディフェンスライン」といいます。つく位置によってタックルまたはエンドと呼ばれます。
DE ディフェンスエンド
ILB インサイドラインバッカー ディフェンスラインの後ろに位置するプレーヤーを「LB(ラインバック)」といいます。内側についているプレーヤーを「インサイドラインバック」、外側についているプレーヤーを「アウトサイドラインバック」といいます。
OLB アウトサイドラインバッカー
CB コーナーバック WRに向かい合う形で位置しているプレーヤーです。
S セフティー ディフェンスの最後方に位置するプレーヤーです。

CBとSを合わせて「DB(ディフェンスバック)」といいます。「セカンダリー」ともいいます。
ディフェンスの体型は、基本はDL(ディフェンスライン)とLBの人数で表現されます。たとえば、上図のように、DLが4人でLBが3人の場合は「4-3(フォー・スリー)」、DLが4人でLBが4人だったら「4-4(フォー・フォー)」といいます。
 
コール
オフェンスがプレーを開始するとき、QBが何かを叫んでいます。この内容はチームによって異なりますが、基本的には、「ディフェンスチームの体型」、「自分のチームに対するプレー・コール」、そして「プレー開始のタイミング」です。それぞれチームによって特徴的なコールをもっています。試合会場で聞いてみましょう。
 
オフェンスの約束
オフェンスチームがプレーをするとき、いくつか守らなければならないことがあります。これらを守らないと反則になります。
  • オフェンスチームのプレーヤーは、相手プレーヤーをつかんではいけません。
  • 前方へのパスは、1回の攻撃に1回しかできません。
第4ダウンの攻撃
ゲームが進んで3回の攻撃が終わりましたが、まだ10ヤード進んでいません。
ボールは自陣ゴール前30ヤードのところにあって、ファーストダウン更新まで第4ダウンのこり6ヤードの攻撃、としましょう。もしあと1ヤードでファーストダウンを更新できるのなら、そのままラン・プレーをしてみるのもいいでしょう。でもまだ6ヤードあります。あなたならどうしますか?
パスを試みるということもできますが、もし失敗すれば(パスは失敗する可能性も高いのです)いきなり相手はゴール前30ヤードにまで迫ってきていることになります。相手に攻撃権を渡すにしても少しでも自分たちにとって有利な状況をつくって渡したいものです。
そこで一般にとられる方法が「パント」です。パントはキックによって相手の陣地深くにボールを蹴りこんで、自分の陣地を挽回するためのプレーです。
そういうプレーがあるのなら、第1ダウンからでも使えばいいと思うかもしれませんが、普通はそんなことをするチームはありません。実は、パントは自分の陣地を大きく挽回できる可能性があるのと同時に、4回の攻撃中にパントをした時点で残りの攻撃権は放棄したことになるのです。
ですから普通は4回目の攻撃でパントは使われます。
 
ゲームを仕切る審判
アメフトの審判は、フィールド内最大7人で行われます。この7人はそれぞれの役目を担っています。アメフトでは審判は絶対です。
R レフリー オフェンスの後方に位置する。プレーの開始停止をはじめ反則の施行など、実際の判断の最終責任者。
U アンパイヤ ディフェンスの後方に位置する。レフリーをサポートし、ボールのセットや反則の施行を行います。
L ラインズマン バックスタンド側のサイドラインに位置する。チェーンのコントロールをしています。ニュートラルゾーンとスクリメージライン上の反則に対して責任を持ちます。また、ボールの前進地点をマークします。
LJ ラインジャッジ メインスタンド側のサイドラインに位置する。ラインズマンと一緒にニュートラルゾーンとスクリメージライン上の反則に対して責任を持ちます。また、ボールの前進地点をマークします。
FJ フィールドジャッジ ディフェンスの後方20ヤードぐらいのバックスタンド側に位置する。自分のエリアのパス・キックについて責任を持ちます。
SJ サイドジャッジ ディフェンスの後方20ヤードぐらいのメインスタンド側に位置する。自分のエリアのパス・キックについて責任を持ちます。
BJ バックジャッジ ディフェンスの後方25ヤードぐらいのバックスタンド側に位置する。自分のエリアのパス・キックについて責任を持ちます。また25秒計時についての責任を持ちます。
TK タイムキーパー 試合時間を計測します。このTKはフィールド内にはいず、フィールドの外でレフリーの合図を元にして時間を計測しています。
正式には7人とTKの計8人で審判団をつくりますが、高校や中学の試合などでは人数を減らして審判に当たることもあります。
 
タイムアウト
各チームは前半・後半それぞれに3回ずつのタイムアウトを取ることができます。
タイムアウトは、他のスポーツ同様、作戦を伝達したりプレーヤーに檄を飛ばしたりするためにも使われますが、アメフトでもっともよく使われるのは「時計を止める」ためです。アメフトでは時間コントロールがとても重要になってきます。その時間をコントロールするために使われます。ですから、アメフトの試合では試合終了間際になってあわただしく1プレーごとにタイムアウトが取られるというようなことがあります。
 
反則の発生
プレーが終わって、グランドを見ると黄色いハンカチのようなものが落ちていることがあります。これは「イエローフラッグ」といって、反則が発生したことを示す印で、審判が反則が発生したときに(多くの場合は発生地点に)落とします。
アメフトの反則は、大きく分けて「距離罰則のある反則」と「距離罰則のない反則」に分かれます。
距離罰則のあるものは、さらにその反則の内容によって5ヤード、10ヤード、15ヤードの反則に分かれます。距離罰則を科せられることを「罰退(ばったい)する」といいます。
距離罰則のない反則には、相手に攻撃権が与えられる場合と、タイムアウトが課せられる場合があります。
反則が発生した時、多くの場合は罰退の施行が済んだ後、反則が発生したダウンをもう一度繰り返します。
 
以上のことを知っていれば、ゲームをみて楽しむには、それほど不便はないはずです。どうぞ実際の試合を見て、楽しんでください。